まぼろしの時空

すみかおりmusica Diary♪ 音と心のスケッチ日誌です。

花☆ 最期の美しいメロディ

今年も半分が過ぎようとしています。
施設での音楽は年が明けてから冬の歌、春の歌を経て、今月から夏の歌に入りました。実際の気候や季節感によっておおよそ毎月歌う曲を変えていますが、歌っていて気持ちが晴れやかになる曲は年間通して歌ったり、ピアノを弾いて鑑賞していただいたりしています。

少し季節をさかのぼって、「花」 作曲:滝廉太郎
  ”春のうららの隅田川~”

「花」は年間の曲のひとつ。美しいメロディはどんな施設でも皆さん共通してお好きです。知的障がい者さんは元気にダンスしたり、身体障がい者さんは寝ていても首を左右に大きく振ったり、高齢者様施設では「淀川の歌はないんか?!」とツッコミが入ります。

最近のご高齢者様施設でのことー。
この数年間、毎週お会いしてきたお二人の女性。ご気分の安定がむずかしいお二人を毎回いかに早く気持ちを落ち着けていただくかが大きな課題でした。お二人のうち、
◎おひとりは元音楽の先生。「下手くそ!しっかり弾きなさい!」と現役時代を思い出され、必ず私を叱ります。
◎もうおひとりは小柄の可愛らしい女性。足がおわるく車いすですが上半身を動かしたいエネルギーが溜まる一方。発散できず、楽器を私に投げてこられたり腕をつねったり・・・少々コーゲキ的です。

しかし、お二人とも活動30分間を過ぎる頃には毎回「早く次の曲歌わせてちょうだい!!」と私を急かし、私が帰る頃には「また来てね」と笑顔で手を振ってくださるのでした。

ちょうどひと月前の5月。「今はツツジがきれいですね♪」なんてお話ししながら「花」を歌いました。
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なんと、この日に限って
●元音楽の先生は「下手くそ!」とひと言も言わない。逆に私をそばに呼んで静かに微笑みながら肩を左右にゆらしながら歌い、
●もうひとりの小柄の可愛らしい女性はトーンチャイムを額に当てて「ほんまにきれいな音やわ!」と穏やかに私に話しかけるのです。

トーンチャイム↓:施設職員さんも大好き)
トーンチャイム.JPG

この日はお二人とも開始から落ち着いておられ、毎回の戦いなくすんなり平穏に活動開始♪。他のご参加の方々も笑顔が多く気分よく歌っておられ皆さんで楽しい時間!「花」以外にも 「バラが咲いた」など ”お花” にちなんだ曲をたくさん歌い、とっても明るい気分。この日は春の歌のしめくくりには最高の楽しい会となりました。

そして次週も穏やかに過ごしてもらえたらと思い臨んだけれど、なんとお二人とも具合がわるくお会いできない日が続き・・・  
ほんの数日ちがいでお二人はご逝去されました。

季節の変わりめは、年齢問わずお別れが多く、また予期せず訪れます。毎回悔いが残るけれど、人生最期を迎える直前までご本人と時間を共有できたことは本当に貴重。目に見えない大切な宝物です。

「花」。美しいメロディをお二人と一緒に歌えて本当によかった。
「下手くそ!」というお叱り。これは真実と受けとめて精進していきます。あきらめません(^^)v