ひとごとのようで。。。頭部のケガや衝撃以外にも、精神的なさまざまな原因で起こりうる病気のようです。私が音楽療法で行っている施設にも50才代から100才を超える方まで認知症と診断された方は年齢が幅広くおられます。
何が原因か〜?突き止めても解決はむずかしいようで、進行を遅らせる薬で様子を見ながら患者さんを支えていくという方法しか今のところ治療方法がないのが現状。新薬ができた!という情報は飛び交っていますが、実際の効果は???です。
認知症と診断された軽度の段階では、患者さん本人は「忘れてしまう」という恐怖と日々大きな戦い。それでも忘れている現実を突きつけられると、本当の自分はどこにいってしまったのか混乱して泣き叫んだり、相手に大声で暴言したり、また我にかえって後悔して辛さと共に涙が止まらなくなったり…苦しむ日々を送るのです。認知症の診断でも、初期の段階はうつ状態も加わってしんどい思いをされるようです。
最近の記憶よりも昔の記憶の方がよく覚えていることは私の経験上、本当だと思います。小学校時代に好きだった先生の名前は覚えていても、お孫さんの名前の方が先に忘れてしまうようです…。
若年性に限らず認知症の方と音楽をしていると、特に童謡唱歌は子どもの頃に誰もが歌った経験があるようで、歌詞が口から自然とすんなり出てくることが多いです。考えこまなくても歌詞がスイスイ出てくると、ご本人も自信を持てるご様子、どんどん表情がゆるんでニッコリ笑顔になっていきます。
混乱状態の方は、私に『帰れ!へたくそ!うるさい!』とモノを投げて、大声を出して怒りをぶつけてくることも。私の方をにらみつけながら音楽活動が15分経過するころにはご自分で気づかないうちに手拍子したり声をだされ、1時間経つと穏やかな笑顔で終了。『ありがとう、また来てな〜』とアッサリ言ってくれるのです〜(^^)v。
でも、これはほんの一例。
精密検査でデータ上、認知症と診断されてもそれからの生き様は人それぞれ。同じ薬を処方されたとしても、その方の生きてこられた人生によっても、性格によっても、同じような進行状態をたどる〜とは言えないなぁと感じます。
音楽や歌はココロを通じ合わせるバイパスのようなもの。道具のひとつです。道具を使って私ができることは少しの時間でも内面の葛藤から遠ざけて、わずかでも明るい気持ちになってもらうこと。受け身の鑑賞だけじゃなくて患者さんご自身自らできる限りやっていただくこと(声を出して歌う、手を動かして楽器を鳴らす~など)が大切かな…と思っています。
3月は卒業式シーズン。「仰げば尊し」を歌っていただいて、学生時代のお話を伺ってみるつもりです♪♪ 好きだった人の名前もおしえてもらえるかも♡
<楽器紹介>
ツリーチャイム。バンドのドラムセットにちょこっとぶらさげてある楽器ですね。バラード曲と共にこれを手に触れて鳴らしてもらうと、結構気持ちが落ち着くようです。活動の締めはいつもコレ♪